3.作詞の方法

歌詞はまずタイトルから
 「I LOVE YOU」、「僕は君が好き」。一行の言葉があれば、歌はつくれます。それで人の心を打つことも可能だと思います。しかし、私たちが思い浮かべる歌の歌詞といえば、サビと呼ばれるいちばん盛り上がる部分と、それ以外の部分で構成される、3分前後くらいのものを言うのではないでしょうか。

 

街を離れて変わってく景色が まるで僕らの人生みたいだね
心動かされたよ 大きなものに
赤いバイク 僕の後ろには君 少し怖そうに目をつぶっていた
「止まってもこのまま つかまっていて」

 

午後の風は少し潮を含んだ おセンチで懐かしい香りがする
僕らが砂浜に残した足跡を今もたどっている

(イニシャル/あべこう一)

 

 これは私の曲「イニシャル」の1番の歌詞です。『街を~』で始まる最初の部分がAメロ、『午後の~』の部分がサビです。この曲はそういう構成ですが、Aメロとサビが逆という場合もあるでしょう。また、Aメロとサビの間にBメロという、別の歌詞とメロディーが入る曲構成も珍しくありません。
 これを踏まえて、どう書くか。歌の構成もそうですが、中身の問題、『物語』をどう紡いでいくのか、そのことも作詞をする上では重要です。恋愛の歌なのか、それとも何らかの社会問題への警鐘を歌に託すのか。恋愛なら、失恋して落ち込んでいる内容にするのか、恋人ができてハッピーな歌にするのか。イメージがあいまいだと、歌詞を書いていてつじつまが合わなくなって行き詰まることがあります。そんなときのおすすめは歌のタイトルを先に決めてしまうことです。
 そのタイトルにふさわしい歌詞を書くぞ!と自分に縛りをかけます。そうすると、頭の中がだんだん整理されてきます。もちろん、書きあげてからタイトルをつけ直してもいいでしょう。タイトルから想起されるイメージが、その歌の方向性を決めてくれるのです。

 

歌のない曲に言葉をのせてみる
 とはいえ、書いたこともないのに、何もないまっさらな状態で、いきなり歌詞を書けと言われても困ってしまいますね。構成にも気を配りながら、自分の思いを歌詞というかたちにまとめることは、慣れれば楽しい作業ですが、最初は骨が折れることでしょう。そんなとき、試していただきたい方法を教えましょう。
 インストゥルメンタル(インスト)という歌のない曲があります。歌でいえば歌手が歌うところ、主旋律を楽器で弾いている曲です。この主旋律に言葉をあてはめてみましょう。また、他言語で歌われている曲に、別の言語の歌詞をあてはめてみてもいいと思います。いい詞が書ければ、それにオリジナルのメロディーをつければ、1曲完成です。原曲に釣られて、似たようなメロディーの歌になってしまう可能性もありますが、有効な作詞の方法の一つだと思います。
 『タモリ倶楽部』というテレビ番組に『空耳アワー』という人気コーナーがあります。日本語以外の言語で歌われているのに、日本語で歌っているかのように聴こえる曲を、映像とともに笑って楽しむもので、ご存じの方も多いことでしょう。こうした『空耳』を利用して、それ以外の歌詞をふくらませて書くのもアリかと思います。後に大事に歌い続けることになる自分の名曲誕生のきっかけが、『空耳』だったなんて。想像したら面白いですよね。他人のメロディーにどんどん歌詞をのせてみて、「歌うための言葉」を書くことに慣れてください。

 

「その歌詞の内容は実体験ですか??」
 何が「良い歌詞」なのかということは、その人の主観ですから、一概に言えません。でも、引き出しは多いほうがいいのではないでしょうか。本や活字をたくさん読む習慣がある人は、やっぱり有利だと思います。あとは、思いついたフレーズはメモを取るくせをつけるとよいでしょう。そのメモが貯まったノートなり手帳なりは、作詞のための『ネタ帳』です。ケータイやスマホのメモ帳や録音機能も有効活用しましょう。
 歌をつくって発表していると、よく「その歌詞の内容は実体験ですか??」と聞かれます。フィクションかノンフィクションかということですが、私の場合は半々といったところです。ノンフィクションであっても、自分の体験に裏打ちされた思いが自然と反映されますし、モチーフが実体験であっても、アレンジを加えることがほとんどです。他人の体験を歌詞にすることもあれば、男性である私が女性の言葉で書くこともあります。この点も、自分に合うやり方を追究してみてください。
 新聞記事であろうと、政治家の演説であろうと、どんなことも歌詞に落とし込むことは出来ます。ぜひ自由な発想で書いてみてください。

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